大学時代に付き合ってた人と、卒業と同時にそれぞれの進む道が分かれてそのまま別れる形になった。
以来、仕事一途ってわけでもないが、女ばかりの職場だったし合コンとかあんまり行く気にならなかったしで、
気が付いたら28歳になってて、それでも結婚願望も母親になりたい願望も普通にあったから
これはマズイぞ･･･と焦り始めた頃、通っていたスポーツジムのインストラクターの男性から告白を受けＯＫした。
正直、物凄く好みのタイプってわけではなかったけど、インストラクターやってるぐらいなら
健康な人なんだろうし、運動好きと言う共通項があるから付き合ったら楽しいかもと思った。
付き合い始めて２ヶ月ぐらい経った頃に、彼の誕生日のプレゼント何がいいか聞いたら
手料理が食べたいって言われて、何が好きか聞いたらトマト味が好きだって言うから
じゃあトマトスープのロールキャベツ作ろうと思って食材を買って彼のマンションへ。
ちなみに、私は母親が中学の時に亡くなってて、５つ下の弟の面倒見ながら家事をやってきたので料理は得意。
彼が住むマンションは一棟まるごとご両親が所有してて、4LDKに一人で住んでた。
うちなんか3人家族で3LDKなのに、こりゃ住んでる世界が違うかな？って
別に卑屈な気持ちではなく、なんか凄いなって思った。
で、とにかく作ろうと思って、買って来たキャベツの外側の２枚を剥がしてそれは捨てて
（誰が触ったか分からないし、見た目も色が変色してて硬そうだからいつもそうしてる）
そこから丁寧に１枚ずつ剥がしたあと、１枚ずつ洗ってから纏めてラップで包んでレンチン。
で、キャベツの芯を削いでから冷める間に中に入れるタネを作ってたら
彼が「あのさ、今置いてあるそのキャベツで包むの？」って言われて「うん、そう」って答えた。
「そのまま？」って聞かれて「うん、冷めたらね」って言ったら「それでいいと思ってるわけだ･･･」って
なんか残念そうに言われた。
「なんか変かな？」って聞いたら「いい。思うように作ってみて」って言われた。
どういう意味だろう？レンチンじゃなくて茹でた方が良かったかな？
でも時間かかるし今時なら普通のやり方だと思うけど、他に私の知らない工程でもあったっけ？と思いながら
いつも通りに完成させて器に盛りつけた。
ロールキャベツを煮てる間にシーザーサラダも作って食卓に並べた。
「どうぞ～」って言ったら、黙ってる。「どうぞ？」ってもう一回言ったら
「あのさ、気が付くかなと思ってずっと見てたんだけど、最後まで気付かなかったよね？」って言われた。
「ん？いつも通りに作ったんだけど、私の作り方なにか変だったの？教えて？」って言ったら
キャベツの洗い方が雑過ぎるって言われた。

「キャベツにしろ白菜にしろ、ホウレンソウや小松菜にしろ、葉物野菜はもっと１枚ずつ丁寧に洗わないと
どこに虫が潜んでるか分からないんだよ？
あんなザッと洗っただけなんて気持ち悪くて俺食えない」って言われたわｗ
別に水に通しただけとかじゃなくて、１枚ずつ裏表を軽く撫でながら洗う程度だったんだけど
虫がついてないか目視で確認しながら洗った。
それで十分じゃないの？って聞いたら、うわぁ･･･みたいな顔されて、ちょっとカチンときた。
「じゃあ無理して食べなくていいよ」って言って自分だけ先に食べ始めた。
私が食べ終わるまで彼は箸も持たなかった。
その後、黙々と片付けてる間、彼はずっと「俺間違ったこと言ってないよね？
素直に認めたら可愛げあるのにさぁ･･･」って言ってた。
片付けてる間にどんどん気持ちが冷めて、生ごみも全部纏めて持ち帰った。
帰宅してスマホ見たら彼からＬＩＮＥが入ってて
「今日のこと、怒ってるの？でも俺間違ってるとは思ってないし
俺、潔癖症なところあるから、ああいうのダメなんだ。
ま、とにかく今度はちゃんと洗ってね（ニッコリの顔文字」って。
「今度は無いです。きれい好きな彼女を探してください」って返信した。
彼の方もそれが別れ話だと察したらしくて、何の返事もなく終わった。
いくら条件的に優良物件でも、自分が幸せになれる気がしない相手は無理だ。
結局なんだかんだで、その後友達の結婚式の二次会で会った男性と付き合い初めて結婚に至った。
感覚が似てる相手なので、とても気楽。
ごはんも美味しい美味しいっておかわりばかりされてる。こういうの、幸せ。